あいべ整形外科
股関節の疾患hipjoint

股関節の疾患

股関節の疾患

変形性股関節症

変形性股関節症とは、股関節のクッションの役目を果たしている軟骨の摩耗などにより、骨盤の臼蓋(股関節の受け皿のような部分)と大腿骨の骨頭(先端が丸くなった骨)が変形することで、痛みや動かしづらさ、両足の長さの違いなどが生じる疾患です。

症状

股関節の痛みと機能の障害です。痛みや股関節の動く範囲(可動域)制限が生じるために、日常生活動作が障害されます。
また、長い時間立ったり歩いたりすることが困難になり、関節症が進行すると運動しない場合でも常に痛むようになり、夜間の痛みも生じます。

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全とは、骨盤に存在する臼蓋と呼ばれる部分が不完全な形状を示す状態を指します。臼蓋は、大腿骨が骨盤にはまり込む部分であり、この凹みが浅いのが形成不全で、大腿骨がきっちりとはまり込むことができない(かぶりが悪い)状態です。

症状

臼蓋形成不全は、乳児期の定期健診で疑われることがありますが、基本的には乳児の時に超音波やX線(レントゲン)で診断される画像上の診断名なので、臨床的に問題となるような症状はありません。成人以降では、長時間立っていると股関節が痛む、だるいなどの症状がみられることがあり、変形性股関節症の前期関節症にあたります。

特発性大腿骨頭壊死症

大腿骨頭壊死症は、大腿骨の先端の丸い部分である「大腿骨頭」の血流が悪くなり、骨壊死が生じる疾患です。骨壊死だけでは痛みは出ず、骨壊死した部分が押しつぶされ陥没することで痛みが生じます。そのため、骨壊死があってもその範囲が小さい場合は、生涯にわたり痛みが出ないこともあります。

症状

自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛です。最初は腰や膝、太もも、お尻に痛みが出ることもあります。
初期の痛みは2~3週間で軽減することもありますが、大腿骨頭の陥没の進行に伴って再び痛みが強くなります。

大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部骨折とは、股関節の内側にある大腿骨の頸部と呼ばれる部分が骨折することを言います。脚の付け根にある股関節は、骨盤と太ももの骨である大腿骨をつないでいる関節です。大腿骨の先端の丸い部分を骨頭、そのすぐ下の細い部分を頸部と呼び、この頸部が折れてしまうのが大腿骨頸部骨折です。

症状

大腿骨頸部骨折の主な症状は、脚の付け根部分の痛みと腫れによって立つことや歩くことができなくなります。大腿骨は、姿勢を保つ、歩く上で重要とされる骨ですので、転倒後に立ち上がれないようであれば大腿骨頸部骨折が疑われます。

鼠径部痛症候群

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)とは、サッカー選手に多くみられ、高負荷のキック動作などに加えて繰り返しの方向転換が多い競技特性により、骨盤と下肢の連結部である鼠径部に大きな負荷がかかり鼠径部痛が誘発されます。

症状

日常生活での痛みがなく運動時に鼠径周辺部や股関節周囲に痛みが生じ、サッカーでボールを蹴るときの痛みや全力で走るときなどに痛みがでます。また、慢性化してくると日常生活でも痛みが生じます。

股関節唇損傷・大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)

股関節唇損傷とは、股関節を構成する寛骨臼(股関節を構成するくぼみの部分)と大腿骨が重なる部位の軟部組織である“関節唇”がダメージを受けた状態のことです。大腿骨頭~頚部と臼蓋辺縁との衝突(大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI))によって発生します。

症状

脚を動かすような動作時に痛みが走ったり、違和感、引っかかり感、股関節を動かせなくなるロッキングという状態を引き起こしたり、股関節がぐらつく、抜けるような感じ、うまく“はまっていない”などの症状が生じます。

骨盤骨折

骨盤骨折とは、骨盤部に外から力が加わることによって骨盤の連続性が断たれてしまうか、あるいは股関節部(寛骨臼)の骨が折れてしまう状態のことです。交通事故、墜落外傷等の大きな外力が加わった時におこりますが、若年者のスポーツ外傷として起こる剥離骨折や、高齢者では転倒等の軽微な外力によりおこる骨盤骨折もあります。

症状

大きな外力による受傷の場合、すわれない、自力で体を動かせない等の激痛を伴う症状がみられ、大量出血を伴いショック状態になる事もあります。

発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)

発育性股関節形成不全とは、赤ちゃんの股関節が脱臼している状態や、さまざまな程度に不安定になっている(亜脱臼)状態を指します。
以前は先天性股関節脱臼と呼ばれていましたが、当疾患は必ずしも先天的なものではなく、生活習慣などによって後天的に起こることもあります。そのため最近では病態を考慮して発育性股関節形成不全と呼ばれています。

症状

古くは独歩後に跛行することで発見されましたが、現在は乳児検診で股関節の開き具合、脱臼感(クリックサイン)や左右の脚の長さの違いがあった場合、X線(レントゲン)や超音波(エコー)診断が行われることで早期発見が可能になっています。そのため、かつては出生数の2%前後の発生率がありましたが、近年はその約1/10に減少しています。成人後に脱臼がある場合は、下肢短縮のために著明な跛行や股関節痛が生じます。